TRON SYMPOSIUM

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講演概要

歩行空間における自律移動支援の普及・高度化に向けたDXの推進

松田 和香
国土交通省 総合政策局総務課 政策企画官(併)政策統括官付


国土交通省では、高齢者や障害者など含め、誰もがストレスなく自由に活動できるユニバーサル社会の構築に向け、バリアフリー情報を始めとする様々なデータのオープンデータ化を促進し、民間事業者等がそれらのデータを自由に利活用し、多様なサービスを提供できる環境づくりを、『バリアフリー・ナビプロジェクト』として推進しています。

具体的には、歩行空間における段差や傾斜等のバリア情報を含む「歩行空間ネットワークデータ」、バリアフリートイレ等を有する施設情報の「施設データ」、そして「地図データ」を活用し、例えば、車椅子利用者がある出発地から目的地まで移動する際に、車椅子が通行できないような段差のある箇所を避けた経路をスマートフォンアプリ等により検索・決定し、案内に従ってスムーズに移動できるようなサービスが想定されます。

一方で近年、物流業界におけるドライバー不足や、コロナ渦における非対面・非接触での配送ニーズの急増等の背景を受け、国内外においてロボット自動配送の実用化に向けた検討・社会実装が進展してきました。注目すべきは、自動走行ロボットが走行する際にもバリアフリー等の情報は必要不可欠であるため、『バリアフリー・ナビプロジェクト』と自動走行ロボットの分野は非常に親和性が高いという点です。そこで国土交通省では、「歩行空間ネットワークデータ」による経路探索とこれに基づく自動走行ロボットの実際の運行等を検証する実証実験を実施することとしました。

今後、ビジネスとしての拡大が期待される自動走行ロボットの分野の発展とともに、『バリアフリー・ナビプロジェクト』における各種データの充実や、多様なサービスの提供が促進されるよう、歩行空間における人やモノの自律移動支援の普及・高度化に向けた施策を推進していきます。