TRON SYMPOSIUM

TEPS

講演概要

IOWN(アイオン)とサイバネティックス技術で挑むQoLの向上

青野 裕司
NTT人間情報研究所 サイバネティックス研究プロジェクト プロジェクト・マネージャ 主席研究員


NTTでは、たくさんの企業と連携して、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の実現に向けた研究開発を推進しています。IOWN構想とは、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざしています。

この高速大容量かつ低遅延なIOWN環境において、高機能な機構/UI(ユーザインタフェース)を備えたデバイスであれば、手術のような精密な作業でも、100kmを超える遠隔地間で実現できる可能性が見えてきました。

一方、遠隔ロボット操作を、より幅広い利用者層に拡大する際には、低廉なデバイス、UIが不可欠となり、たとえネットワークの遅延が限りなく小さくなったとしても、リアルな作業時に感じていた感覚(五感、体性感覚など)とのずれが発生し、操作性を悪くしてしまいます。

そこで、NTT研究所では、「ネットワークの遅延による悪影響を緩和する技術」と、「デバイスやUIの性能限界による悪影響を緩和する技術」の両面から、遠隔ロボットの操作性向上に向けた研究開発を進めています。

今回は、これらの最新の研究成果を中心に、我々が推進する様々なロボティックス・サイバネティックス研究の成果をご紹介します。