TRON SYMPOSIUM

TEPS

講演概要

企業における障がい者活躍推進と遠隔操作型分身ロボットの活用

池田 円
日本電信電話株式会社(NTT)総務部門 ダイバーシティ推進室 室長


NTTにおける障がい者活躍推進には幾つかの目的がある。障がいの有無に関わらず活躍できる場を提供することで、よりサスティナブルな社会実現に貢献することはもちろんだが、それだけはなく、企業として、障がい者の個性や能力をビジネスに活かす、という視点も重視している。

遠隔操作型分身ロボットとそのパイロットの方に出会ったのは、2019年10月のこと。外出困難なパイロットの方が、遠隔操作型分身ロボットOriHimeを操作して、カフェで働いていた。このICTを活用した新たな就労機会の創出に感動し、企業(オフィス)でも活躍いただける場はないかと考え、実現したのが、遠隔操作型分身ロボットOriHime-Dを活用したNTT本社での受付業務であった。

新型コロナの感染拡大の時期とも重なったこともあり、パイロットの方との採用面談もリモート(オンライン)で実施し、その後の就労においても一度も対面でお会いすることなく、完全リモートで業務を遂行いただいている。本事例は、完全リモート社員の採用の第一号となり、障がいの有無に関わらず、完全リモート社員の雇用・活躍が可能であることを証明することとなった。

その後も、NTTグループでは、障がい者活躍推進とリモートワールドの実現の観点から、様々な遠隔操作型分身ロボットの活用や、遠隔操作を円滑にするための通信技術の研究などに継続的に取り組んでいる。

誰もが、外出困難になる、障がいを抱える可能性がある。障がい者と一言で言っても抱える障がいも能力もスキルも人それぞれ異なる。誰もが働きやすい社会を実現するために、一人ひとりが活躍できる仕事を企業は考え、創り出していく必要があり、企業には、より多様な障がい者活躍推進の取り組みが求められていると感じている。