この11月、NTTにおいて新たな大規模言語モデルtsuzumiを発表した。展示では、tsuzumiの特徴を展示するとともに、この数年注力して取り組みを進めている次世代通信基盤IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)との関係および進捗を紹介する。
NTTの大規模言語モデルの特徴は、軽量、カスタマイズ可能、マルチモーダル、特に日本語に強い点があげられる。また、tsuzumiはカスタマイズ可能であることから、産業分野や組織に特化した言語モデルへと変身させることができる。
しかし、tsuzumiが軽量といえど、多用な分野にカスタマイズしようと思うと、その学習データは膨大になり、一箇所に集約するというのは簡単なことではない。そこで役立つのがIOWNのネットワーク、All-Photonics Network(APN)である。超高速通信により、離れた拠点のストレージも同一拠点にあるかのようにつなげることができる。
IOWNとは、最先端の光技術を活用し、豊かで持続可能な社会を創る構想である。
IOWNの活動では、まずネットワークの完全光化に取り組んだ。現在のネットワークはスイッチ部分など至るところで電気に戻す。これに対し、IOWNのネットワークAPNでは、end-to-endの光パス化により、超低遅延なネットワークを提供する。APNは商用サービスを開始しており、その具体的な利用が始まっている。展示では、その一つのユースケースとして、工事用重機の遠隔制御を紹介する。
一方、IOWNはコンピュータの光化およびコンピューティングアーキテクチャの刷新にも進み始めており、コンピューティング上のセキュリティについても新たな研究を進めている。従来は、暗号化といえば、ネットワークおよびストレージ上の話であった。実際にデータを処理しようとすると一回平文に戻す必要がある。つまり、暗号解読せずとも情報を抜き取る術はいくらでも存在していた。これをコンピューティング中も一度も平文に戻さず処理することを目指したPrivacy Enhancing Computationの取り組みを進めている。APNの高速大容量データ転送により、あたかも統合したコンピューティング空間の中で、生成から破棄まですべてのフェーズで高度な暗号化によりデータを保護する取り組みを紹介する。