YRPユビキタス・ネットワーキング(YRP UNL、所長:坂村健INIAD(東洋大学情報連携学部)学部長)は、IoT(Internet of Things)とユビキタス・コンピューティングに関する研究分野のパイオニアである。IoT 分野での基礎研究に加えて、それを活かした応用研究、コンサルテーションを行うとともに、コミュニティを形成・運営している。
Aggregate Computing とは、複数のメーカーが提供するIoTノードのためのクラウド環境を連携させるしくみである。Aggregate Computing の実現のために、API(Application Programming Interface)をオープンにすることによりクラウド環境を連携させるとともに、それらに対するガバナンス管理機能を提供するための統合フレームワークを研究しており、これを「u2(uIDアークテクチャ 2.0)」とよんでいる。
エッジノードにおけるリアルタイムコンピューティングを実現するためのOS として、μT-Kernel 3.0 の仕様策定およびソースコードのリリース活動に携わっている。μT-Kernel 3.0は、キロバイト単位のメモリしか持たないRFIDチップや微小なセンサーなどの極小規模のシステムから、中規模で高性能なシステムまで、幅広い規模やハードウェア性能に対応可能なスケーラビリティを備えている。
また、μT-Kernel 3.0 は、IEEE(米国電気電子学会)の定めるIoTエッジノード向け世界標準OS の仕様「IEEE 2050-2018」に対して、完全上位互換になっている。
YRP UNL では、預けたどのパーソナルデータをどの事業者へ提供するか、すべて個人が判断できるPDS (Personal Data Store)のしくみを研究している。また、このPDS を用いてパーソナルデータを個人が管理するユースケースの検証と普及を行っている、一般社団法人IoT サービス連携協議会(AIoTS)の事務局として、これらの取り組みを積極的に推進している。
IoT 分野での基礎研究・応用研究の成果のうち、運用実績を得て展開可能な事例については、パッケージ化して展開する活動も進めている。たとえば、救急活動における救急隊と医師のコミュニケーションをサポートするシステムを、横須賀市を中心として2014 年より運用しており、このシステムをパッケージ化して展開する活動を進めている。