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能登地震における情報バリアフリー確保に向けた取り組みと課題

荒金 陽助

日本電信電話株式会社 研究企画部門 IOWN推進室 室長


今年1月の能登地震、ならびに9月の能登豪雨において、通信ネットワークは大きな被害を受けた。NTTグループでは通信設備の早期復旧に向けてあらゆる手段を講じるとともに、地域の皆様とも連携しながら災害支援の取り組みを行ったが、災害発生後、当該地域が一斉に情報バリアに阻まれた環境下においては、通信インフラ確保はこれまでにない困難を極める状況であり、情報バリアフリーの実現に向けた課題も浮き彫りになった。

一方、NTTでは、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の2030年の実現に向けた研究開発を推進している。IOWN構想は光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想である。さまざまな情報を組み合わせ、デジタルツイン上に高精度に再現し未来の予測ができるようになることから、災害予測や被災者支援の高度化が可能となるほか、分散コンピューティングにより被災時の迅速なリソース制御も可能となるなど、災害時の“バリアフリー”への貢献が期待されている。

今回は、能登地震の設備復旧に向けた取り組みや今後に向けた課題を振り返るとともに、IOWNが実現する災害時のバリアフリー実現に向けた取り組みを紹介する。


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