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障害者の避難を阻む『壁』

竹内 哲哉

NHK 解説委員室 解説委員


毎年、発生する自然災害。気候変動もあり被害は甚大になる傾向があります。しかし、障害のある人たちが避難しようとすると、様々な「壁」が立ちはだかります。実際、障害者の死亡率は高く、東日本大震災のときに障害者手帳を持っている人々の死亡率は、住民全体の約2倍というデータもあります。

そして、その「壁」は障害のある一人一人、それぞれ違います。国は2013年に法律を改正し「避難行動要支援者名簿」の作成を自治体に義務づけ、名簿に基づき災害時の避難手順や避難所での対応をあらかじめ整理しておく「個別避難計画」の策定を市町村の努力義務としました。

ことし6月の総務省の調査によると「名簿」はすべての自治体で作成済みであるものの、「避難計画」についてはばらつきがあることが分かっており、計画に基づいた避難訓練も行われておらず、実効性については課題があります。

実際、ことしの元日に発生した能登半島地震では、発災当初、連絡がつかない障害者が数多くいたことが分かっています。

また能登半島地震では、様々な避難をするための「壁」(道路の寸断など)、避難所での「壁」(ライフラインの断絶、福祉の担い手不足など)も改めて浮き彫りになりました。

誰も取り残さず命を守るためにはどうすればよいのか。日頃からの障害者への理解や地域の連携のために必要なことを提起します。


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